Grand Journeyのトミーです。
本日は昨日に引き続き、経営指標入門をやっていきます。
昨日は「ROE、ROA,ROIC」といった収益性に関する指標を学んでいきました。
読まれていない方は先に読んでみてください。
ご参考:【ROE・ROA・ROIC】会社の収益性を知って効率的な投資をしよう!サルでも分かる経営指標入門
本日はその対比となる「コスト」について勉強していきます。
一見、難しそうに見えますが、紐解くと簡単です。
江戸時代の人に「This is Apple」という文字をみせても理解できませんが
みなさんがみれば「これはりんごです」とすぐわかりますよね?
では早速行きましょう!
明日からすぐ使える事を選んで書いてますので、ぜひすぐ実践してみてくださいね
コストって何?
コストと聞けば何となくイメージがつくかもしれません。
交際費や人件費、家賃などの費用が思いつきますよね。
実は大きく2つの箇所で費用はかかってきます。
それは
①集めたお金にかかるコスト(調達コスト)
②事業をするうえでかかるコスト(事業コスト)
上に記載した、人件費などは事業をするうえでかかるコストになります。
本日は①である集めたお金にかかるコストについて勉強していきます。
このようにお金を出してくれている人には、利息や配当、株価上昇等、
何らかの形でお返しをしないといけません。
企業目線では「資金調達にかかるコスト」ですが
投資家目線では「投資資金に対するリターン」と言えます。
また、対比するリターンがコストを上回っていないと
企業価値が上昇していきません。
投資家の方も企業にお勤めの方も
この調達コスト以上の価値提供を意識していきましょう。
負債コスト
まずわかりやすい所からいきましょう。
企業が
・銀行からお金を借りる(借入金)
・投資家からお金を借りる(債券)
などの場合には、借りている人に対し「利息」を払わなくてはいけません。
これを負債コストと呼びます。
これはイメージつきやすいですよね?
みなさんが住宅ローンでお金を借りて家を買ったら、毎月利息を含めて返済していきますよね。
企業も同じで、お金を借りている場合は利息を払わないといけません。
負債コストを見るうえでポイントは2つあります
今は超低金利時代
今の日本の国債(10年)の金利は0.02%です。
つまり国はみなさんからお金を借りても年間0.02%の利息を払うだけでいいんです。
100万円借りたとしたら年間200円を払うだけでいいのです。
ですので、今企業はこぞって負債で資金調達をしています。
支払利息は税金を安くする
もう1つのポイントは、税金面です。
先ほど
①調達コストと②事業コストと2つのコストがかかると説明しました。
この支払利息は②としても見ることができて
益金の押し下げ効果が生まれます。
例えば
会社の利益:100億円
税率:30%
だとすると
会社の利益:100億円
税率:30%
税額:30億円(100億円×30%)
と税金は約30億円発生します。
しかし、調達を借入でしており支払利息が10億円発生していたとすると
会社の利益:100億円
支払利息:10億円
税率:30%
税額:27億円(90億円×30%)
と税金を計算する上で、費用とみることができるので
実際に10億円の利息を払っていても、税金は3億円得しているので
相殺すると負債コストは7億円で済むという計算になります。
このような税金(TAX)への効果を
金利 ×(1ーt)
で表すことができます。
CAPM
CAPM(キャップエム)とは
Capital Asset Pricing Modelとよび
株主資本コストの事を指します。
少し勉強されている方は
株主には配当を払うからそれがコストなんではないか?
と思われる方もいるでしょう。
確かにそうなんですが、配当だけでは株主特有の「株価変動」が含まれていません。
ですのでそこも考慮するとこのCAPMを見ていく必要があります。
まずはCAPMの式をみてください。
Rf + β×(Rm ‐ Rf)
で表せます。
...は?って感じですよね。
実は言っていることは
めっちゃ簡単なことなんです。
なので分解して読んでいくとよくわかります。
Rf:リスクフリーレート
リスクがない資産に投資した場合のリターンを指します。
よく日本国債10年物などが使われるケースが多いですね。
考え方は、「まあ最悪ここで投資すればこのくらいリターンあるよね」
という、最低限のリターンだと思ってください。
Rm:市場(マーケット)リターン
これは株式に投資した時に投資家が期待するリターンの事で
日本では5~6%が使われる事が多いです。
「株式に投資したらこのくらいはリターンほしいな」
というリターンだと思ってください。
β:ベータ
これは個別銘柄の感応度を指します。
つまり、みなさんが投資した投資対象(企業)それぞれこのベータが違います。
例えば、全体的にあまり株価が動いていなくても、みなさんが投資した会社だけ
めちゃくちゃ株価が上がっていたとします。そうするとこのベータは高くなります。
ですので、「この銘柄の株式に投資ししたら
通常の株式投資にくらべてリスク変わるよな~」って時につかいます。
まとめてみると
つまりCAPMの計算式は
最低限のリターン+株に投資するリターン×個別の要因
と理解してください。
WACC
最後にWACC(ワック)です。これは
Weighted Average Cost of Capitalの略で
加重平均資本コストと呼ばれます。
先ほど勉強した負債コストと株主資本コストを
加重平均しコストを算定します。
計算式は
負債コスト(負債÷(負債+株価総額))
+株主資本コスト(株主資本コスト÷(負債+株主総額))
で表すことができます。
最近ではこのWACCを意識して経営をするように企業は言われており
企業はWACCと比較してそれ以上の利益を追求していく必要があります。
ですのでみなさまが属している組織や部署や事業が
このみなさまの会社のWACCを下回っている場合は、
改善に向けたリストラやテコ入れ
それができない場合は、他の会社へ売却されてしまう可能性や
そもそも儲からないなら潰されてしまうような可能性があります。
対比
最後に対比していきます。
昨日学んだうちの
ROEは株主資本からのリターンでしたね。
ですので
ROE > CAPM
であれば企業価値は高まります。
ROICは投下資本利益率の事でした。
ですので
ROIC > WACC
であれば企業価値は高まります。
さいごに
今回は少しややこしそうな話しをしましたが
みなさんの勤めている会社や
投資している会社のリスクリターンをしっかり把握し、
人生に役立てましょう!
もしお悩みの事や課題に感じていることがあれば
お気軽にツイッターDMまたはコーポレートサイトのお問い合わせフォームからご連絡くださいね.